子ども支援者研修会「見えない、見えにくい世界を知ろう!」を実施しました

皆様こんにちは。視覚障害当事者相談員の中村 忠能です。
令和初の夏、楽しんでいますか?

福祉用具プラザでは8月19日に夏休み中の子ども向けに「見えない・見えにくい世界を知ろう!」をテーマとした研修会を実施しました。参加者は小学1年生から中学1年生までの8名の元気な子どもたちと保護者4名で、募集定員いっぱいまでお申込いただきました。多数のご参加ありがとうございます。

最初に「見えにくい体験」をしました。

参加者は半透明のシートを貼って見えにくくした市販のゴーグルを着け、野菜や果物のイラストや名前が書かれた紙を見ます。これは高齢者に多い目の病気である白内障と同じ様な見え方を再現しています。当然見えにくいわけですが、色によって見えやすさが変わってくることを体験しました。次に紙に鉛筆やサインペンを使って自分の名前を書いてもらいました。太字の書けるサインペンの方が文字が見やすく、ちょっとしたことなんですが使用する筆記用具を選ぶことで生活がしやすくなるんですよ。

次は「見えない体験」です。参加者はアイマスクを着けます。

子ども向け研修の様子

子どもたちはアイマスクを着けて準備万端です

 

一つ目の見えない体験は「じゃんけん」です。近くの席の人とじゃんけんをしてもらいました。皆様、不思議に思いませんか?相手の出した手が見えない状態でじゃんけんができるのか、と。できるんです!その答えを私が言うのは簡単なので、どうやったらできるのか子どもたちに考えてもらいました。

子どもたちはすごいです。すぐに思いつきました。「自分の出した手を声に出す」という意見が出て、それが一般的なのですが「相手の手を触って確認する」という意見も。んーナイスですねぇ☆

二つ目の見えない体験は「食べる体験」です。アイマスクを着けた子どもたちに「あるお菓子」を配ります。それが何なのか、そして何味なのか、子どもたちに考えてもらいました。自分の目の前に置かれた「あるお菓子」を触り「硬いな~」や「丸いな~」の声。これだけで察しがついた子もいました。そして次に口に含むともうみんな答えが分かり、正解を聞くと「あめ!」と大きな声で自信を持って答えました。

面白いのが味覚です。配った飴にはいろんな果物の味がついていたのですが、何味を食べているか聞くと、実際はリンゴ味を食べている子も「オレンジ」と答えたりするのです。そしてアイマスクを外し、飴のパッケージを見て確認してもらうと途端にその果物の味がしだす・・・という不思議な現象が。如何に視覚からの情報に影響されているかということですね。

食べる体験では、視覚以外の感覚を活用して見えなくても判断できることを体験してもらいました。ここで視覚障害者をサポートする側として、好き嫌いもありますから飴を食べるかどうか確認したり、味の種類を伝えて好きな味を選んでもらう方がより喜ばれるよということを子どもたちにアドバイスしました。でもまぁ、これは障害の有無に関係ないことですね。気配りのできる人ってステキです。

他に、視覚障害者の誘導体験、点字を読む体験、点字が書いているトランプを使って私と一緒に遊ぶ体験もしました。点字は学校で習っている子もいて、難しいかなー、時間がかかるかなーと思っていた点字の文章を読む課題もあっという間に解いてしまいました。頼もしいっ!

誘導体験の様子

アイマスクを着けた子の誘導体験です。難しかったよね・・・

 

研修のおわりに感想を聞くと「見えない状態が怖かった」「一緒に遊べて楽しかった」などなど。短い時間でしたが、皆さんの心に何か残って素敵な大人になってくれたらいいなぁと思った夏のひと時でした。